川越駅周辺の都市開発を考える その1 (東口編)

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川越駅周辺の現況は?

 川越駅には現在も東武東上線とJR川越線が乗り入れ、1日あたり述べ20万人が利用しています。

 駅は北西から南東に向かって、北向きの巾着型に広がった川越市の中心市街地を斜めに止める形で設置されています。そのため入り口の名称と方角は実際の方角と若干ずれていることもありますが、公式には東武東上線側の東口とJR川越線側の西口となっています。

 東武東上線が20年以上も早く開業したこともあって、昭和15年に国鉄川越線が開業して以来今日まで、繁華街は東口から本川越駅にかけての広い範囲に発展しています。1982年(昭和57年)に川越マインが、1990年(平成2年)のアトレマルヒロがそれぞれ開業し、今でも主に若者やファミリー層を中心とした買い物客で混雑しています。
 川越駅東口から本川越駅に至るクレアモールとその周辺は、関東随一の商店街として有名です。低層の飲食店やブティックが立ち並ぶ一方、丸広百貨店川越本店やイトーヨーカドー食品館川越店(旧 イトーヨーカドー川越店)といった百貨店や大規模スーパーも居並び、統合した大商業地域を形成しています。
 川越駅東口から東側及び南東側は、マンションが立ち並ぶ高層住宅街です。川越街道と鉄道の間の地域では、新型コロナウィルスの驚異にさらされている今でもなお新たなマンションの建築が進んでいます。

 一方の川越駅西口は、改札口こそ国鉄川越線開業と同時に設置されていますが、長い間駅裏としてのんびりとした空気を放っていました。1969年(昭和44年)までは川越少年刑務所が大きく構えていましたが、更に郊外に移転した今日に至るまで若年層の青少年受刑者のみが収容されており、周囲の雰囲気もさほど乱れていなかったようです。
 川越少年刑務所が移転した後、1970年(昭和45年)の認可以来2011年(平成23年)までの実に41年をかけて川越駅西口の土地区画整理事業が行われ、今の区画構造が完成しました。
 現在はオフィスビルとマンションが入り混じって立ち並び、駅から少し離れたところに劇場を併設した複合商業施設ウェスタ川越が構えます。更に、この2020年(令和2年)6月8日には、新型コロナウィルスにも負けず、川越駅西口から歩行者デッキで直結された複合商業施設U_PLACEが開業しました。ちなみにこの両複合商業施設にはそれぞれ埼玉県川越地方庁舎と川越市民サービスステーションが入居し、官公庁の施設としても稼働しています。

川越駅東口の課題 : ドミノマンション化

 川越駅東口から川越街道にかけての区域は、15階建て前後の中層マンションが軒を連ねています。そして現在でも隣から隣へと、まさにドミノのように無秩序にマンションが乱立し、環境の悪化が懸念されています。

 この川越駅周辺のドミノマンション問題については、以下の理由が絡み合っているのではないかと考えています。

  • 【需要面】利便性と市名のブランド価値の上昇による地価高騰
  • 【供給面】広い土地がいっぺんに供給できない

川越市中心部の基準地価は、現在でも引き続き急上昇しています。都心から半径30キロ圏を出てしまうため、本来であれば地下が横ばいに転じていてもおかしくない地域ではありますが、特に去年1年はオリンピック効果もあってか2%以上の上昇をしています。

参考URL : https://tochidai.info/area/kawagoe/

一方で、家や駐車場を手放す住民が少しずつ現れている状況です。そのため、敷地面積が同じ1000平方メートル〜2000平方メートル程度が順次確保されるのみで、その規模の面積では最も費用対効果が良くなる14階建て前後の中層マンションが確保に合わせて乱立しているものと考えられます。

 また、マンション供給量が需要に追いついていないためか、マンションの価格が新築・中古ともに高騰しています。イトーヨーカドー川越店跡地のマンションや現在建築中の菅原町のマンションは、高級マンションブランドではありますが、都心に引けを取らない6000万円台という強気の価格です。それ以外のマンションでも、市街地の物件は軒並み4000万円台となっています。
 中古マンションでも築浅のものでは3000万円台以上の物件が見受けられますが、この値段を持ってすれば板橋区あたりでも同じグレードのマンションが見つかります。

川越駅東口に提唱 : 市が主導した居住誘導再開発

この4区域については、市の建物以外に中高層建築物がなく、今後のドミノマンション化が想定される区域です。
 この4区域にそれぞれ広場や駐車場・駐輪場・医療施設を併設した28階〜30階(高さ99メートル程度)の高層マンションを誘致・建設し、同時に東側の川越街道に接する土地についての区分変更(商業地・近隣商業地→低層住宅地)を提案します。

 これによりコンパクトシティ構想の居住誘導と都市機能誘導の両方が満たされる上、川越街道以東の低層住宅区域への圧迫的な開発進出の抑止が望めます。
 また、一部を公共広場化することで、この周辺の近隣公園不足も望むことができます。

結び

 本田技研工業の埼玉製作所の移転も、川越市にとってはむしろ追い風かもしれません。和光市と寄居町・小川町の中間に位置し、関東有数の繁華街と一大観光地を持つというのは大きな魅力です。IHIの鶴ヶ島新工場や川島町・川越市南部への流通センター急増も、川越市内でのマンション需要の増加に影響しそうです。

 そんな中で進むドミノマンション問題について、川越市はもっと主導権を持って積極的に介入すべきだと考えます。そのことがひいてはコンパクトシティ構想を促進し、周辺市民の住環境の保証へとつながるという点も、疑いようはないでしょう。

 近いうちに、西口側についての特集、更には南古谷駅や的場駅についても考察をしていきたいと思います。それでは。

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