JR東日本のデータ開示が進んでいます
数年前から、JR各線の平均通過人員(輸送密度)や各駅の乗客数がインターネット上で細かく公開されています。
我らがJR川越線の輸送密度と各駅の乗客数も掲載されていますので、まとめて、考察を行いたいと思います。
平均通過人員(輸送密度)の推移
我らがJR川越線の平均通過人員(輸送密度)は以下のとおりです。2017年(平成29年)から過去5年間と電化直後の1987年(昭和62年)を比較できる資料がJR東日本から公開されているので、そちらを引用いたします。
1987年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
大宮~高麗川(全線) | 30,295 | 54,764 | 54,160 | 55,523 | 55,729 | 56,088 |
大宮~川越 | 53,028 | 86,807 | 85,857 | 88,083 | 88,483 | 88,962 |
川越~高麗川 | 12,050 | 19,185 | 18,966 | 19,371 | 19,360 | 19,587 |
引用元 : https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2013-2017.pdf
運転系統の違いもあることから毎年数値は大宮 – 川越間と川越 – 高麗川間の2つに分けたものも集計されています。一見して分かる通り、両区間において平均通過人員に大きな差があります。
平均通過人員(輸送密度)は増加中
JR東日本では、上記以外にも更に2008年までの5年分の輸送密度も公開されていますが、その頃から通じて川越線の平均通過人員(輸送密度)は毎年一定数の増加を繰り返しています。
2013年6月の東武東上線・東京地下鉄副都心線・東急東横線・みなとみらい線の相互直通開始により川越周辺 – 新宿及び川越周辺 – 渋谷間の直通電車が大量に設定されたことや、同時期のダイヤ改正で順次東武東上線の川越市以北の増発が行われたことから、一時的に川越線の利用客は減少しました。しかし翌年度にはその減少分を上回る大幅な利用客増加が始まっており、その傾向は現在まで続いています。
電化2年後の1987年の平均輸送人員を見ると、30年間で利用客はほぼ倍増しています。しかし運転本数も設備も一切替わっていません。電化して間もなく3両編成の103系にお下がりの改造車を追加して4両編成にして、ようやく最近になって幅の広い輸送量を増やしたE233系7000番台を導入したのみです。
繰り返しになりますが、運行本数は開業当初から増えていません。それどころか、2015年には日中の川越 – 高麗川間が20分に1本から30分に1本へと大幅に減便されました。にもかかわらず、表を見ていただければ分かる通り、当該区間の平均通過人員は増加傾向にあります。
ラッシュ時のダイヤは飽和状態で増発は不可能
朝ラッシュ時には、始発駅の川越駅の段階で既に全車両の椅子が埋まり、立っている乗客も比較的多い状態です。車両や乗り換えの状況によっては、つり革がすべて埋まっています。
また、大宮から南古谷の各駅から川越に向かって東武東上線や高麗川方面への列車を利用する乗客も、各列車の座席を全て埋める程度には存在します。
したがって、回送列車以外ではもはや空き座席が存在しない状態となっています。
別の日記の記事でも触れていますが、ラッシュ時の混雑は電化以前の少なくとも1980年(昭和55年)の時点で問題点として自治体から声が上がっています。つまり、この状況は少なくとも約40年に渡って放置され続け、今日に至っても全く無視された状況である、ということが言えます。
早急な混雑緩和が求められます
都心部への人口流入に加えて、川越・さいたま両市の近郊では安価な一戸建てが多いため、若い世代の定住が進んでいます。日本全体の人口減少傾向は始まっていますが、まだこの川越線沿線において急な人口減少は起こりえない状態となっているどころか、しばらくは利用客増加が見込めます。
また、沿線には人気の高い私立学校が非常に多く立地し、子どもたちが他の地域から集まってくる地域柄でもあります。したがって、少子化が進んでいる現在でも、他地域で見られるような学生利用の急激な減少は起きにくい状況です。
以上のことから、最低でも大宮 – 川越間、可能であれば全線の複線化が必要であると考えられます。