JR東日本が2020年度の利用客数を公表
本日2021年7月9日付で、JR東日本が新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言後も含めた2020年度の全路線利用客数及び駅の乗客数を公表しました。
参考URL : 2020年度駅別乗車人員等のデータ公開について(PDF)
通常は5月下旬頃に公表されていますが、今回は緊急事態宣言等により公表が大幅に遅れていました。
なお、このデータは4月~3月の年度算出なので、2020年度の利用客数は2020年4月以前の新型コロナウィルスの影響がなかった時期の数値は殆ど入っていないものと思われます。
川越線の平均通過人員は約3割減
参考URL : 路線別平均ご利用状況(PDF)
路線別の平均通過人員、昔の表現で言うところの輸送密度は、以下の図の様になっています。この図の数値は、左から営業キロ(km)、1987年度平均通過人員(人/日)、2016年度平均通過人員(人/日)、2017年度平均通過人員(人/日)、2018年度平均通過人員(人/日)、2019年度平均通過人員(人/日)、2020年度平均通過人員(人/日)です。また、川越駅を境に大きく輸送量が異なるため、2つに分けた数値も併記されています。
2020年度の川越線全体の平均通過人員は、2019年度比で約1万5千人(27.4%)の減少となりました。約3割弱の減少で、他の路線と比べると平均的か若干減少率は小さいのではないかと思われます。5割以上減少した東北新幹線や35%近く減少した山手線に比べれば、軽症で済んだと考えられます。
各駅の乗客数の減少率にはバラツキが
参考URL : 各駅の乗車人員
各駅の利用客の変化は以下の通りです。
2019年度 | 2020年度 | 増減率 | |
大宮 | 257,344 | 188,576 | -26.7% |
日進 | 13,770 | 10,675 | -23.2% |
西大宮 | 11,158 | 9,174 | -17.8% |
指扇 | 10,761 | 8,472 | -21.3% |
南古谷 | 8,474 | 6,457 | -23.8% |
川越 | 38,112 | 26,981 | -29.2% |
西川越 | 1,337 | 1,079 | -19.3% |
的場 | 3,021 | 2,439 | -19.3% |
笠幡 | 2,933 | 2,290 | -21.9% |
武蔵高萩 | 3,442 | 2,482 | -27.9% |
高麗川 | 4,483 | 3,173 | -29.2% |
駅ごとの利用客数は、駅によって減少幅が17%~29%と大きなバラツキを見せました。
ターミナル駅である大宮・川越・高麗川の減少率がずば抜けて高く、武蔵高萩もほぼそれに続きます。一方、他の駅の利用客数の減少率は20%前後に留まっています。
減少率の高かった4駅は東京方面への通勤客が特に多い駅であり、加えて大宮・川越の両駅はそれぞれに向かってくる通勤通学客も多い都心部の駅であることが原因ではないかと考えられます。更に、川越駅は観光客減少の煽りも受け、一段と減少率が大きくなったと考えられます。
考察 : 複線化の必要性は十二分にある
平均通過人員は27%減となりましたが、それでもまだ路線全体平均で4万人/日以上、川越~大宮間に限れば6万4千人/日以上を保っています。この時点の数値を見ても、十分複線化の必要性はあると考えられます。
また、都心に通勤せず自宅周辺で過ごす新しい生活様式が普及し始め、一方で密になりにくい近郊の観光地から少しずつ人流が戻り始めることも予想されるため、2021年度以降は少しずつ川越線の利用客数も戻っていくのではないかと考えられます。
地元で密にならずに過ごすためにも、都市間輸送の要である川越線の複線化を改めて強く望む次第です。
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