荒川橋梁の架替計画

川越線

荒川橋梁の架替計画が本格的にスタートしました

参考URL : 「荒川第二・三調節池整備事業」に伴う「JR川越線荒川橋りょう改築工事に係る基本協定」の締結について (PDF)

参考URL : JR川越線荒川橋りょう改築 – 荒川調整池整備事務所

2021年(令和3年)7月28日付で、荒川調節池やスーパー堤防の整備を進める国土交通省関東地方整備局とJR東日本大宮支社とのあいだで基本協定が締結されました。

 この協定において発表された資料から、以下の点が明らかとなっています。

  • 新橋梁は上流側に新築される
  • 旧橋梁と平行ではなく、川越側堤防付近で最も新旧橋梁の間が開く
  • 川越側では住宅数軒の移転が必要
  • 指扇側は市道やレンタル倉庫の土地を利用するため住宅の移転は不要
  • 指扇側で予定地に差し掛かる市道に面した住宅へのアクセスはどう担保するのか不明
  • 現時点では単線仕様前提ではあるものの、JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えに関する協議会の調査結果を待って詳細な設計に移る

記者発表を見た当初はJRと国が地元自治体との約束を反故にしたのかと焦りましたが、きちんと念を押すように複線化検討の結果を待つと書いてあり、それについてJR東日本も同意していることに安心しました。

 整備完了が2030年度(令和12年度)と考えると来年初頭の調査結果を踏まえてから詳細な設計に入っても十分な工期は取れることから、きちんと地元とのコンセンサスを取った上で整備を進める方針は今後も変わらないようです。

周辺住民への説明会は中止

 また、荒川調整池整備事務所のサイトによると、2021年8月4日から8月6日にかけて周辺住民への説明会が計画されていましたが、新型コロナウィルスCOVID-19の感染拡大に伴う緊急事態宣言発令により中止とし、公表予定だった情報については後日オンラインで掲載する予定とのことです。

 最も、まだ詳細設計の着手には入っておらず構想の変更も考えられる段階なので、現時点で公表されているもの以外の情報はさほど存在しないのではないかと考えられます。

薬師堂と墓地は避けられる模様

参考URL : 川越線のおばけ

川越側の築堤の北側に小さな薬師堂が、南側に墓地が存在し、築堤を階段で登る石段と遮断器も警報機もない踏切(現在は封鎖中)があります。この薬師堂はかつて築堤の部分に存在しましたが、軍部の強権により強制的に北側に移築され、現在のように墓地と分断される形になってしまいました。

 この分断以降、築堤を通る列車の乗務員や乗客が幽霊を目撃し、時には列車が非常停止し、運行に支障をきたすようになってしまいました。これを重く見た鉄道関係者と地元住民が近くの寺で供養を行うことでこの現象が沈静化したという伝説があります。
 ちなみにこれは、旧市街地で生まれ育った私も小さい頃に伝え聞いていて、様々な解釈はありますが、比較的有名な話です。

 今回の橋梁架替においても、新橋梁は墓地の南側を掠めて避ける形での計画となっています。神社仏閣や墓地の移転は地元住民の反発が強くなりがちで、また作業員やその後通過する乗務員と乗客も影響を受けるという話は多く聞くため、なるだけ考慮したのではないかと考えられます。

結び : 続報と調査の中間報告を待つ

 まずは周辺住民への説明会に関する情報の公表、そして秋頃に予定されている複線化に関する調査の中間報告を待ちたいと思います。

 また、休日を使って、荒川橋梁周辺の散歩も実施したいと考えています。1938年(昭和13年)竣工以来

コメント

  1. KO-1 より:

    こんにちは。
    JR川越線荒川橋梁の複線化仕様での架換えに関する協議会の第4回目が
    WEB会議でおこなわれることが決まりましたね。
    氏名とメールアドレスを9/16(木)までに県の担当者にメールで送れば、どなたでも傍聴できるみたいです。

    9/21(火)の16時からのようですが、管理人様はいかがですか?

    https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/186281/dai4kainkawagoesenkyougikaikaisainituite.pdf

    • hiratti@admin より:

      KO-1さま

      ちょうど予定を空けられそうなので、傍聴の希望を出しました。
      後日文章で公開される内容と大差はないかもしれませんが、温度感を見るいい機会と考えており、楽しみです。

  2. KO-1 より:

    こんにちは。
    ウェブナー無事(?)ご覧になられたでしょうか?

    さいたま市の言い分は、複線化橋梁は大事、しかし河川事業も市民の命がかかっており、河川事業の延期は望まない。

    さいたま市が望む河川事業期間に影響を与えないとする方策1から3について、

    1は新しい橋梁を単線で架ける。複線化時は現在の橋梁の橋台を活用しようというもの。
    2は新しい橋梁を単線で架ける。複線化時はまた別の新しい場所にもう1本架けようというもの。現在の橋梁は完全撤去。
    3は完全に複線橋梁で新しく架け直すというものです。

    2はないと思いますね。
    これは完全に後でやるというだけのものです。新設する際の橋のスペースは残してくれるかもしれませんが、この協議会自体がここまでやるだけ無駄だったということになりそうです。

    3が一番の理想ですが、お金もかかるし、複線化実現までは宝の持ち腐れで、税金の無駄遣いという批判が出そうです。

    1が一番現実的かもしれませんね。現在の橋梁の橋台を使う。ただ、河川事業の当初の予定では現在の橋梁を撤去という話だったので、実現化するかわからない複線化のために橋台を残しておけるかという国土交通省側とのおり合わせが必要。

    引き続き、技術的な調査が年内いっぱいまでおこなわれますが、JRが2月の協議会までに「費用を自治体が負担してくれれば、治水事業の後に複線化をおこなう」と正式表明しないと、その後、選べる選択肢は相当限られてしまいそうな気がしますね。

    • hiratti@admin より:

      KO-1さま

      お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。

      協議会を傍聴しましたが、かなり厳しい内容に見えました。
      まず、各案の内容はわかるのですが、具体的な数値に欠けており、判断がしづらいと感じました(川越市・さいたま市の担当者も言ってましたね)。

      1については、個人的にはかなり懐疑的です。
      現行の橋台は1938年に作られて、平成になってからコンクリートで補強したものです。
      強度や老朽化具合的にそのまま応用できるかについては、そもそも乗り気ではないJRと改めて研究をしなければならないのではないかと思われます。
      また、国交省の設計を見る限りは堤防外から河川敷内全てに渡って全て橋梁となる可能性が濃厚ですが、河川敷内の現行橋梁の築堤部分をどうするのかという点について突っ込んで確認してほしかったと思いました。

      結局の所、

      > 費用を自治体が負担してくれれば、治水事業の後に複線化をおこなう

      これをいかにJRに言わせるかがこの協議会の唯一の解ではないかという点も、改めて感じました。

      また、Twitterでも呟きましたが、JRになってからの先行事例に、現時点で国交省が想定している規模の架替え事例はないかもしれません。
      余部橋梁は、橋脚の高さこそ40メートル以上ありますが、全長は300メートル強で、なおかつ非電化のローカル線です。
      単線とはいえ橋脚の高さが10メートル以上かつ全長1400メートルかつ電化かつ10両編成の長大通勤電車が毎時6本以上行き交う高密度運転区間の架替となると、そもそも一大プロジェクトで、確かに強い政治力が必要だなと痛感しました。

  3. KO-1 より:

    返信有難うございます。

    やはり状況が厳しいように感じますよね。この協議会、一般公開されたのは第1回目と今回で2回目なのですが、厳しそうだな、無理なんだろうな、という印象は今回も変わりませんでした。

    結局のところ、税金を使ってやる以上、無駄なお金の使い方は許されない。もちろん署名活動などで民意を得てはいる。しかし、将来の複線化の可能性は否定こそされてはいないものの、その時期が不透明では、行政は出せるお金に限りがあります。

    次回の協議会が2月ですか。このタイミングで「費用を自治体が負担してくれれば、治水事業の後に複線化をおこなう」がJRの口から出てこないと、もうこの話は終わりでしょうね。

    2,の案を取り、複線化が決まった時にもう1本架けるで決まりになると思います。
    (人口減社会も予測されており、予算や工程など一からすべてのお膳立てをしなければならない、そんな莫大な事業となる追加架橋事業が今後できるとは到底思えませんが。)

    正直、すごく情けないとも思っています。
    県都と県下3位の中核市を結ぶ鉄道、しかも国内で単線区間では最大の利用者があると言われている鉄道を行政の力で何ともすることができないくらい埼玉県には力がないのか、と思うからです。

  4. Mt より:

    「JR川越線荒川橋りょうの複線化仕様での架換えに関する協議会」第5回が開催されたようです。

    まだ、私はざっとしか資料を読んでいないのですが、他線区の複線化事例を参考事例として取り上げているにも関わらず、当該区間の通過人員との比較はなされていないようでした(川越線内の年次間比較のみ)。

    「通過人員が10万人近い中で単線のまま」ということの異常さを、白日の下に曝しての議論を期待したのですが、残念です。

    • hiratti@admin より:

      Mtさま

      先行事例との比較が全般的に少ないと、私も感じました。
      前回までの協議会の内容を踏まえても、相変わらずだなという感じです。
      ただ、通過人員の割には設備が貧弱で通常は複線化されていてもおかしくない旨はJRが一番良くわかっているはずでして、それでも動かない重い腰を動かすための数字(橋の耐震性や周辺の都市開発の状況etc)はある程度まとまっているかなと言う感想です。
      一方で、具体的な費用が全く見積もられていないこともあり、重い根拠のある情報として今後活用されるかは不透明だとも感じています。
      既にJR東日本と国土交通省で設計に取り掛かっているので、このタイミングでもうひと押ししないとまずいのですが・・・。
      署名による直接的な民意も、衆院選による間接的な民意もはっきりと示されていますが、この協議会が未だに行政職員と企業の間だけで閉じたままであることもまたなんとも失望させてくれます。